100年前のお墓、今のお墓、100年後のお墓

100年前のお墓のかたちとは?

今から100年前のお墓はどのようなものだったのでしょうか。100年前というと、大正5年(1916年)ですが、日本の埋葬方法は元々土葬が主流だったのに対し、火葬が広まってきた頃です。明治政府が始めた「家制度」の影響もあり、お墓のかたちは今に見られる家系ごとの墓石に火葬した遺骨を納める「先祖代々のお墓」となっていったのです。

現在のお墓

それから100年(現在)、現在では核家族化や都心移住等により「家」という意識が薄れてきています。また、少子高齢化からお墓の管理・供養を担う後継者がいなくなると、先祖代々のお墓の将来に対して不安を持つ人が増え、継承を前提としない「新しいお墓のかたち」を選ばれる方も多くなっている状況です。

「新しいお墓のかたち」とは、子孫に変わりお寺・霊園が管理・供養を行い、血縁関係のない人たちとお墓に入る「永代供養墓」「納骨堂」などです。その他に、遺骨を自然に還す「樹木葬」、「散骨」という選択もできるようになりました。

埋葬方法や供養のかたちは、これまでも時代とともに変化してきました。さらに100年後、私たちの供養のかたちはどのように変化していくのでしょうか。

100年後のお墓はどうなっている?

最近では、鉄筋コンクリート造のビル内部が納骨堂となっており、ご先祖様の遺骨はコンピューターによりシステム化されているものも登場しています。家族がお墓参りする際は、参拝ブースの壁面にあるカードリーダーにカードをかざすと自動的に骨壺が目の前に運ばれ、お墓参りが出来る仕組みになっています。さらに、モニターには遺影がスライドショーとなって表示されるところもあります。

技術がさらに進歩すると、お墓参りの為墓石の前に立つと、生前の等身大の故人が浮かび上がるお墓・・なんていうのも出てくるかもしれません。

子孫が絶えず、お墓を守る後継者が居れば「先祖代々のお墓」も無くなることはないでしょう。しかし、「将来誰も参ることのないお墓」となってしまうことを案じて「改葬」や「墓じまい」が加速し、少子化により新しいお墓が建つことも少なくなれば、墓地の面積は減少していきます。

「家」という意識が薄れ、血縁関係のない方と納骨することに抵抗を感じない方も増えています。平成27年度の永代供養墓に関する調査(インターネット都政モニター「東京都の霊園」)では永代供養を利用してもよいと回答した人が全体の6割を超えました。

100年程前にできた先祖代々のお墓が現代の主流となっていることから、100年後のお墓のスタンダードは「永代供養墓」となっているかもしれません。