戒名は必要か?と悩んだときに知ってほしい3つのこと
戒名は必要か?
世間の戒名に対する意識調査の結果、戒名が必要ないと答える人は56%、戒名が必要と答えた人43%を上回ったそうです。(2012年読売新聞調べ)近年、戒名についての考え方が昔と比べて変わってきています。そこで、自分の近い人の戒名、又は自分の戒名をつけるかどうかで悩んだときに知ってほしい3つのことをまとめてみました。
① そもそも戒名が不要な人ってどんな人?
「戒名」とは、仏教に帰依した(信仰した)者に与えられる宗教上の名前のことです。仏教を信仰している人、菩提寺をもつ(寺院の檀家になっている)家の人は戒名を寺院の住職から授かることができます。
自分には信仰している宗教がない、という方にそもそも戒名は不要といえます。
現代では、「仏教を信仰している」と胸を張って言える人は少ないのではないでしょうか。「日本の無宗教化が進んでいる」と言われていますが、日本で行われている葬儀の約8割は仏式で行われていますし、過半数の人が墓参りへ行き、墓前で手を合わせます。日本の仏教は意識しなくとも生活になじんだものと言えるのかもしれません。
② 戒名がないと天国に行けないの?
戒名がないと、周囲から「故人が浮かばれない」などと言われるかもしれません。亡くなった方に戒名を付けることが仏教の教えからきているのだとしたら、お釈迦さまは、戒名なしでは成仏できないと言っているのでしょうか?ここでは、仏教の戒名に対する考え方を見てみましょう。
「戒名が釈尊の教えにもとづくものではなく、仏教が日本化する過程で生まれてきたもの」
(戒名-なぜ死後に名前を変えるのか―,2005)
「お釈迦さまの「教え」とは関係なく、日本にのみ存在する、一種、宗教上(仏教上)の習慣」(戒名は自分で付けよう,2005)
今に見られる戒名は、日本独自の伝統・習わしとして存在しているようです。したがって、戒名が無くても故人は成仏することもできますし、天国へも行ける(人によっては地獄・・)ということになります。
③ 戒名がないと後々困ること4点
(1) 位牌がない
仏壇でよく目にする「戒名を記した位牌」は戒名がない、ということになります。
※位牌に生前の名前を記すこともできます。
(2) 墓誌に生きた証を残す際、生前の名前を記すことになる
故人が入っているお墓として、墓石や墓誌等に故人の名前を彫る際は、戒名がない為、生前の名前を彫ることになります。
(3)親族の理解が得られない場合がある
故人の願いで戒名を付けなかったとしても、戒名がないことに違和感を覚える親族は少なからずいます。親族にはなぜ戒名を付けなかったのか、説明する必要があるでしょう。
(4) 寺院の理解が得られない場合がある
寺院の僧侶にお願いして葬儀を行う場合や、納骨する際、寺院によっては戒名がないまま葬儀や納骨を行うことに抵抗があるところもあります。僧侶にも「戒名を付けないのが希望です」と事前に話し合っておくのが良いでしょう。
戒名は今を生きる人に生き方を教えてくれることも・・
昔は家に仏壇が在るのが普通でした。仏壇には先祖の戒名が彫られた位牌があり、日常生活で戒名を目にすることも多々ありました。しかし、現代では仏壇を持っている家が39.2%(2013年株式会社インブルームス調べ)にとどまっており、戒名を目にする機会も減りました。それも、戒名に対する意識の変化につながっているのかもしれません。
戒名は故人の生前の生き方を表します。先祖の戒名を見れば、遺族の間で「おじいちゃん(おばあちゃん)はこうだった」など故人を想い、今を生きる人にも生き方を教えてくれる機会となるかもしれません。
戒名は必要か?を考えるとき、上記3つのことも踏まえてご家族でも話し合い、それぞれの答えを出していただきたいです。