遺言書で家族へ伝える、自分の希望する葬儀・埋葬方法
「遺言書」とは?
「遺言書」とは、最終意思を家族へ伝える表現方法のひとつです。財産相続について親族へ伝えるものというイメージが強いですが、自分が亡くなった後の葬儀や埋葬方法も書き記すことができます。
遺言書に希望する葬儀・埋葬方法を書いても法的拘束力はない!?
「遺産分割」事項とは違い、「葬儀や埋葬方法」は遺言書に残したとしても法的な拘束力はありません。あくまでも葬儀や埋葬・法要の規模・やり方は遺族の判断によって決まるのです。しかし、通常であれば亡くなった方の葬儀や埋葬方法の希望を遺族が知っていれば、遺族は故人の希望を実現しようと努めるでしょう。
遺言書を残す側は、遺族が遺言書を読んで「これは不可能だ・・」と困らせることの無い様、実現可能な葬儀・埋葬方法を、より具体的に遺言に残しましょう。
遺言書で葬儀・埋葬方法を記す際の注意点3つ
① 葬儀や納骨は、亡くなってすぐ遺族が準備や手配に取り掛かります。葬儀や埋葬方法が記された遺言書の場所を遺族が知らず、遺言書の発見時には既に納骨を終えていた・・となっては意味がありません。仮に遺族が遺言書の存在を知っていても、封印していると家庭裁判所の検認(遺言書の偽造や変造を防ぐための手続き)前は勝手に開封することができません。
葬儀や埋葬方法の遺言書は、「遺産分割」事項を書いた遺言書とは別に用意し、開封したままの状態であらかじめ家族に遺言書の場所を伝えておくとよいでしょう。
② 散骨を希望する場合、希望の散骨場所が条例等で散骨禁止になっていないかどうか事前に確認しましょう。
③ 後に要望が変わっても、遺言書は何度でも書き直すことができます。しかし、遺言書が2通以上見つかり、内容に矛盾が見られる場合は、遺言書を書いた日付が後の方が有効になりますので注意が必要です。
葬儀・埋葬方法を遺言書に残す場合の費用・書き方は?
自身の希望する葬儀・埋葬方法を遺言書に残す場合、費用は特にかかりません。(封筒・用紙・ペンの費用くらいです)
下記に遺言書の一例を載せています。
遺言書
遺言者〇〇〇〇は、葬儀や埋葬方法について次のように行われることを希望する。
一. 遺言者が死亡した際は、葬儀は密葬とすること。
二. 遺言者が死亡した後は、火葬し、遺骨は○○県○○市○○町○-○にある
○○宗○○寺の永代供養 墓へ納骨すること。
平成〇〇年〇〇月〇〇日
遺言者〇〇 〇〇 ㊞
家族に自分の希望の葬儀や埋葬方法を伝えておくと、家族は心情的にも負担がかかる時期にいろいろと迷わず葬儀や納骨の準備・手配することができます。
遺言書に葬儀・埋葬方法の希望を書くのは、家族へ伝えるひとつの手段です。一番大切なのは生前に家族で葬儀・埋葬・供養の方法を話し合い、理解を深めておくことです。