永代供養墓体験レポート【神奈川県小田原市・大久寺】

お寺の歴史

天正十九年(1591年)、徳川家康の忠臣であった小田原城主大久保忠世公が建立したお寺です。忠世公は三河出身の戦国武将でしたが、秀吉の小田原征伐の後に家康が関東を任されるにあたり、遠州二俣から相州小田原へ移封せられました。その際、二俣時代に帰依していた僧の自得院日英上人を請招し、大久保家の菩提寺として大久寺を開基しました。 その後、二代忠隣公が政治の謀略によって小田原城を改易されると、小田原大久寺の法灯は一旦途絶えてしまいます。しかし、忠世公の伯父の玄孫の大久保新八郎康任が箱根入湯の道中、大久寺が廃れていることを惜しみ、同地に再興し、今日に至るまで前期大久保家の廟墓を守り続けています。

(大久寺ホームページより引用)

大久寺は小田原市の街のお寺として多くの方に親しまれています。2016年4月には小田原市の中心部にある小田原城(大久寺から約600m)の平成大改修が完了し、小田原城はより分かり易く親しみ易くリニューアルしました。同時に観光客も増加し、小田原城主大久保家の菩提寺でもある大久寺にも多くの観光客が訪れています。

小田原城主大久保家の廟墓を案内していただきました。(天候が曇りで写真が少々見えにくいですが、戦国武将好きとしては拝見できてよかったです。)

交通

【電車でお越しの場合】

小田急箱根線「板橋駅」から徒歩5分(350m) JR「小田原駅」から徒歩20分(1.7㎞) (JR「小田原駅」から大久寺まではタクシーで約7分)

【車でお越しの場合】

・東名高速道路 厚木ICを降りて国道255号線を小田原方面へ。約20分(12㎞)で国道1号線へ合流。「早川口交差点」を直進し、100m先で左折。

・湘南バイパス 小田原ICを降りて国道1号線箱根方面約10分(3km)で「早川口交差点」を直進し、100m先で左折。

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境内

神奈川県小田原市の中心部に位置し、車通り・人通りも賑やかな国道1号線にこちらの寺院大久寺は面しています。

山門をくぐると、前面道路の賑やかさとは対照的に心落ち着く空間が広がっています。

左手には駐車場、右手には本堂と法要時に会食が行えるスペースを持つ客殿があります。駐車場の広さも十分で、境内全体にあまり段差が無いため、足腰の不自由な方でも安心して参ることが出来ます。

駐車場写真

客殿写真

永代供養墓の環境

永代供養墓は本堂の正面にあり、本堂と供養墓が向かい合う形で建っています。春には満開に咲き誇る樹齢200年ともいわれる桜の木も側にあり、春の風景は素晴らしいものです。

本堂の外観写真

本堂の内観写真

本堂内部より永代供養墓を望む

こちらの永代供養墓で一番説明させていただきたいことが、供養墓の背景に列車が写り込むことです。一見、お墓の近くに列車が通ると騒がしくて落ち着いて供養できないのでは?と思われるかもしれませんが、近くに行くほどそのような想いは全く感じられませんでした。

背景にある路線は箱根登山鉄道(奥には東海道本線も)あり、首都圏と日本有数の人気温泉地の筆頭「箱根」を繋ぐ観光路線です。箱根登山鉄道はトリップアドバイザーも「一度は乗った方が良い」と太鼓判を押すほどで、年中時期を問わず登山や観光を目的とする人で賑わっています。

供養墓の背景を通る列車はこちら↓

箱根登山電車 車両紹介

小田急電鉄ロマンスカーラインナップ

電車好きにはたまりません。ちょうどお寺に伺った日は、子供連れでお墓参りをされている方が数組いらっしゃいました。子供は電車が通るたびに「でんしゃ!」と興奮している様子。(お墓参りのときは静かに手を合わせていましたよ)

供養墓の背景を通る列車は駅が近く比較的速度が遅くなるため、音は気になりませんでした。落ち着いて供養ができます。

こちらのお寺の副ご住職によると、列車の車窓からお墓が見えたことがご縁でお墓を購入された方もいらっしゃるとのことでした。

ここからは、副ご住職から伺ったお話を掲載します。

永代供養墓への思い

今までも時代と共にお墓のかたちは変化してきました。例えば、戦国武将等の「個人墓」から夫婦で入る「夫婦墓」、明治時代からは家ごとの「家族墓」の様に。最近では「永代供養」の相談も多く受けるようになってきました。「永代供養」への関心が高まっているように感じられます。

お寺の役割は「安心を与えること」、お墓の役割は「安心感を与える場所」です。

もし、家族のお墓・個々のお墓への価値観が変化し、家族のお墓を維持・管理してゆくことがストレスになっているのであれば元も子もありません。

「永代供養墓」の存在を知り、安心して日々を過ごしていただきたいです。

永代供養後の供養はどのように行っていますか。

年始・春と秋の彼岸・お盆には墓前にて読経し、回向いたします。

また、(定期的に日時が決まっているわけではありませんが)時間をみて線香を手向けております。

お寺がいる限り無縁ではありません。

永代供養墓へのお墓参りはどのように行えば良いでしょうか。

お寺には朝8時頃~夕方6時頃お墓参りや参拝客来られる方が多いですが、お寺の門はいつも開放されており、いつでもお墓参りをすることが出来ます。

お寺にて永代供養墓へ季節のお花を供えておりますが、お墓参りの際にお花を供えることもできます。お供え物も供えていただいて大丈夫です。(虫等もおりますので、お墓参り後は、お供え物は各自お持ち帰りいただいています)

永代供養墓へ塔婆を立てることもできますので、ご希望の場合は事前にご連絡ください。

また、永代供養墓へのお参りの際は是非、日頃見守っていただいている本堂の仏様にも感謝の気持ちを込めてお手を合わせ下さい。客殿にてお茶休憩をすることもできます。

生前予約もできますか。

生前予約も可能です。生前の宗派を問わず申し込むことが出来ます。

このお寺は日蓮宗ですが、日蓮宗の宗祖、日蓮聖人は

「先(まず)、臨終(りんじゅう)の事(こと)を習(なろ)うて後(のち)に他事(たじ)を習(なら)うべし」

という言葉を残しています。これは、「最期のことをまず考えてから他のことをしなさい」という意味です。自身のお墓のことを前もって考えておくことで(人は必ず終焉を迎えるということを自覚でき)人生に悔いがない様に生きるきっかけとなる、ということです。

 

見学して感じた事

今回お話を伺った副住職は「かつてのお寺は共有資産であるという考えを持つ人は少なくなっています。しかしながら、お寺の存在をきっかけに安心を与え、社会に貢献していくことで様々なご縁を作っていきたいと考えています。困ったことがあればここに(お寺に)という方が一人でも増えていけば」と話しておられました。

こちらのお寺は定期的に寺子屋(子供たちに開かれた勉強会)や催し物も開催され、その度に境内には人々で賑わいます。

「お寺」と聞くとお金がかかるのでは?等とイメージされる方もいらっしゃるかもしれませんが「そんなことはありません、気軽に来てもらいたい」と副住職は話します。

副ご住職のブログはこちら

お寺の将来に対してしっかりとしたビジョンを持ち、開かれたお寺として地域の方に愛されています。時間があれば、境内のお墓に線香を手向けて回られるといった供養は、霊園では見ることのできない風景です。心打ち解け、お話ししやすい副ご住職の人柄も素晴らしく、地域から親しまれているお寺であるということを感じとることが出来ました。